美味しさのために(日本酒編)

あなたは日本酒の美味しさといった場合,何を考えますか?普段何気なく買われているお酒も,随分色々な工程を経てあなたの手元に届いているのです。銘柄さえこだわれば良いかというと,そんな事はありません。同じ銘柄を販売していても,そのお酒屋さんの姿勢(考え方)ひとつで,お酒の味も変わってしまうのです。

日本酒の場合,通常の商品になるまでの流れは

上槽(モロミを搾る事)後⇒オリ引き⇒炭素濾過又は素濾過⇒火入れ貯蔵⇒熟成⇒炭素濾過又は素濾過⇒割り水⇒火入れ瓶詰め⇒放冷⇒出荷

と流れます。この過程の中で,酒質の安定,均一化,劣化防止を図りますが,逆にこの処理が,香りを損ない,味を損ない,旨さを損なう場合もあります。つまり,美味しさを保つ為には出来るだけこれらの処理を省けば良い訳です。「無濾過」「生系」「冷蔵貯蔵」など,搾り上がった時の風味を出来る限り瓶に封じ込めたお酒を出来るだけ多く取り扱いたいと当店では考えています。

 

美味しさのために「省きます」

当店が考える,上記の処理を省くための条件は,搾った時に

  1. 良い酒であること
  2. クセが無いこと
  3. 強い酒であること
  4. 味がくどくないこと

    など幾つかあります。要は上手に造らなければ処理は省けません。また,冷蔵管理が出来ていないと雑未が増え,味にブレが生じてしまいます。当店では店頭はもちろんバックヤードも冷蔵管理を徹底しています。

 

美味しさのために「無濾過」

濾過する事で,余分な味や香りを落として酒質をきれいにし,また熟成させた時に劣化する成分を先に取り除く効果があります。しかし、同時に良い味、良い香りも取ってしまいます。何も引かない「無濾過」で瓶詰めすることで、香味は十分に残り、味のバランスを保ちます。また特に舌触りも滑らかです。旨さのための「無濾過」です。吟奏の会のお酒はすべて『無濾過』です。

 

美味しさのために「原酒」

搾り上がった時の酒は「火入れ」も「割り水」もしない原酒です。本当に良い造りをした,純米酒や吟醸酒は「原酒」とは言ってもアルコール度数は16〜17度程度です。蔵元などでこの搾りたてをお飲みになった事がありますか?鮮烈でコクのある美味しさは忘れられない美味しさですよね!通常市販されているお酒はほとんどが,この「原酒」に割り水をして15度くらいにアルコール度数を下げたものです。全然別物といってもいいくらいだと思いませんか?当店では,本当のお酒の味わいを知っていただきたい為に「原酒」にこだわります。

 

美味しさのために「生」「生貯」「生詰め」

搾り上がった時の酒は,芳醇な香りを放ち力強さを持っています。五味を充分に感じ,何とも言えない美味さがあります。この芳醇さを瓶に封じ込めるためには「生」か、「1回火入れ」です。火を入れた場合でも冷水をかけて短時間で水温まで戻す事により風味を逃しません。「1回火入れ」にも技術が必要です。「1回火入れ(生貯、生詰め)」は「生」の良さを残しながら「生」の欠点である味のブレをなくすためです。

 

美味しさのために「蔵元直送」

通常清酒の流通は,蔵元⇒問屋⇒酒屋⇒消費者となりますが,上記のような処理を行なったお酒は品質管理が大事になります。出来るだけ中継地点を減らしたほうが良い訳です。「無濾過」「生」「原酒」は蔵元から直接,当店までクール宅急便で搬入され,当店の0℃のプレハブ冷蔵庫で貯蔵熟成されます。「吟奏の会」のお酒はすべて「蔵元直送」です。

 

美味しさのために「冷蔵貯蔵」

「1回火入れ」でも「冷蔵管理」をしていないと味にブレがでます。「生」の場合は特に酵母,酵素が生きているため味が熟し過ぎたり,生老ねが出たりします。しかし温度が低すぎると「変化」による面白さだ出ないという欠点もあります。当店では搾った時の風味を残しながら,また酒のカドを丸くするために0〜3℃で貯蔵しています。この温度が適当であるかは,今後の酒の味わいの推移により変化するかも知れません。

吟奏の会のお酒
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